D-⑯ 喀血 及び 血痰

「次に、よ喀血や痔で出血する事がありますが、之は決して浄血ではないので毒血であります。浄血は、病気では排除されないものであります。

 

 そのことを知らない為に、喀血でもすると非常に吃驚するが、之は大変結構な事なのです。ですから喀血する肺病は、十人が十人治ります。

 

  又、喀血性は殆んど発熱がない。稀には微熱のあるものもあるが、滅多にないのであります。  此症は、膿結がないから、発熱の必要がないのであります。(中略)」  

                                       (「毒血と膿」療講  S11.7)

 

「(中略)次に喀血は非常に良いのである。それは毒血が浄化作用によって排泄されるからである。医学に於ても喀血性結核は治癒し易いとしてある。そうし喀血の局所は一定してゐないのであって、多くは肺臓外部の一局部に浄化作用によって毒血が凝結するか、又はそれが肺臓内に浸潤して凝結する場合、発熱によって溶解喀血するのである。

 

 茲に注意すべきは脳溢血発病の際脳に溢血せずして喀血に変ずる事がある。多くの医家は之を肺の喀血と誤診するが、何ぞ知らん実は之によって脳溢血を免れ得たのである。」                                 (「肺結核」明医一  S17.9.28)

 

「結核患者が最も恐るるものに血痰がある。故に一度血痰をみるや、急に不良化する場合が往々あるのである。然るに、私が多くの経験によって知り得た所によれば、血痰は肺臓内から出るといふ事は極稀であって、大抵は肺臓以外即ち腋窩肋骨部、扁桃腺の外部の位置にある毒素溜結、頸部淋巴腺等からである。そうして之等局部に微熱がある事によって判るのである。それは局部に溜結せる毒素(血膿)が、熱によって溶解さるるからである。故にその部の毒結を溶解するや、血痰の排泄を見なくなるにみて明かである。私の経験上、血痰のある患者は治癒し易い事と、全治後非常に健康になる事である。

 

  次に、喀血のある結核患者は割合経過は良好である事は医学も唱へてゐる。そうして喀血に於ても肺からのは稀であって、多くは、種々の局所からである。例へば肋骨部、肩部、頸部淋巴腺等で、人により頭脳からの場合もある。之等は喀血後、頭脳の一部分の長き痛苦又は不快感が消滅するにみても明かである。

 

 又脳溢血発病の一歩手前ともいふべき、左右孰れかの頸部淋巴腺附近の毒血溜結が、浄化によって喀血する事があるが、之によって脳溢血を免れたのであるから喜ぶべきである。然るに、斯かる場合、医家は結核による喀血と思ひ謬まる事が多いのである。そうして喀血の血液は毒血であって、何れは排泄せられなければならないものであるが、喀血に因らざる場合は、赤痢又は痔出血等に因る事もあって、之等は自然療法によっても必ず全治するものである。

 

  ただ茲に、稀ではあるが頗る悪性の喀血症状がある。それは敗血症による喀血である。之は毒血の浄化作用と異なり、全身の血液が肺を通じて排泄さるるのであるから、容易に止血し難く、治癒は頗る困難である。

 

  然し、茲に知っておくべき事がある。それは普通喀血の場合、菜食をする時は必ず止血するが、再び肉食をする時は、又喀血する例はよくあるのである。之によってみても喀血に対しては菜食に限るといってもいいのである。」

                               (「血痰及び喀血」結正  S18.11.23)

 

「その他喀血及び血痰は濁血が出るので、結構な浄化作用であるから、医学でも喀血性は治りがいいとされてゐる。斯うみてくると結核は治るに決ったものであって、治らないのは医療が治さないやうにするのである。(中略)」  

                                      (「結核の病原」医革  S28.)