〔乾性肋膜炎〕
「之は水が溜らぬもので、水は溜らぬが、湿性と同様に膜間に空虚が出来るので、非常に痛むのであります。此の痛みは、膜と膜とが「離れる為の痛み」と「擦れる痛み」とであります。之は、一週間位で全治致します。
然し、乾性肋膜は極少い病気で、よく、「乾性肋膜」といはれて来る患者を査べてみますと、殆んどそうではないのであります。それは、肋骨に水膿が固結して痛むので、実は肋間神経痛でありますが、よく間違へられるのであります。此の痛みは――稲妻のやうに迷走的に痛むのであります。之は普通一ケ月位、重症で三月位かかるが順調に治るのであります。
肋間神経痛である――所謂乾性肋膜炎の治療法は――骨の痛む所を一所一所溶してゆくから相当時日がかかります。
之にもひどいのがあって、以前、両胸から脊部全体が痛むといふ、頗る広範囲の神経痛の患者があったが、三月位かかって漸く治ったのであります。
斯ういふ例もありました。之は霊的でありますが-或商店員で「胸が痛い」といふので、そこを治すと、此方が痛む-といふやうに胸中に痛みが動くのです。之は「蛇の霊」なんで、最初は其家の娘さんが肋膜になり、私の所で治り、次に、女中が同様の状態で治り、次に小僧さんが同じ様な症状で来た訳であります。その「蛇の霊」を私に憑かしてきいてみると、それは、そこの家の「祖先」であって『祀ってもらひたい』といふ訳だったので、早速、『龍神』として祀ってやったら、それから、その家にそういふ病人は全然なくなったのであります。此の種のものでも、別に祀らなくとも本療法で治るのであります。
肋膜炎を治療する時は――胸に触ると熱の所があるから、そこをやりつつ、痛みを問診しながらやればいいのであります。息を深くさせると痛い所がありますから、そこを治療して、息をさせて痛くなくなればそれで治った訳であります。
患部としては、乳部附近から横腹から、背中へかけてであります。も一つの眼診でも判る場合があります。背中を見ながら息を大きくさせると、余計拡がる方の肺は健康で、拡がらない方は水が溜ってゐる訳であります。
右が悪いか左がわるいか-といふ事を見別けるのに、病人は右か左かどっちかわるい方を下にして寝るものであります。何となれば、悪い方を上にして寝ると、圧迫されて苦しいからであります。食物は、普通の米飯でよく、安静にしなくとも、苦痛でない限り働いてゐてもいいのであります。
肺でも肋膜でも、絶対安静にすると治りがわるいので、成可身体を動かした方がいいのであります。肋膜など、発病したてなら二、三度で治ります。風邪より治りいい位のもので、極くひどいのでも一週間と思へばよいのであります。肋膜が治ってから二、三年も経つと、背中又は胸部に腫物が出来る事がある。之は、肺が丈夫になり、浄化作用によって膿が押出されて来たので、チッとも心配ない処か、極めて結構な事なんで、ほったらかしておけば、自然に膿が出て治るんであります。」
(「乾性肋膜炎」療講 S11.7)
「乾性肋膜は、極稀にある病気であるが、医師の診断で、乾性肋膜と名付けらるるは殆んど誤診であって、実は肋間神経痛が大部分である。之は胸部の痛み、咳嗽、発熱等の症状で、医療は湿布、注射、服薬等で浄化を停止するから、一時は治癒したやうでも再三再発するものである。」 (「肋膜炎」医試 S14.)
「乾性は肺膜に間隙を生ずるも、液体集溜はない場合をいふが、此症状は激痛を伴ふもので、医診は肋間神経痛を誤診し乾性肋膜炎といふ場合が多いのである。」
(「肋膜及び腹膜炎」天 S22.2.5)
「乾性肋膜炎は滅多にない病気で医診は肋間神経痛をよく間違へるやうであるが、之も簡単に治るものである。よく肋膜炎から肺結核になる人も多いが、之は肋膜の水や膿が肺へ浸潤し、安静其他の誤った手当の為、肺の中で固まって了ふ其為であるから、最初から何等手当もせず放任してをけば結核にはならないのである。」
(「肋膜炎と腹膜炎」文創 S27.)
《浄霊》
背中の骨の痛む所(息を深くさせ痛む所を施術)、有熱部、