「人間の体は、霊体(火の体)気体(水の体)肉体(土の体)と分けてもいい。心、肺、胃は根本で、他の機能は枝である。全体は心臓が支配してる。」
(「特別講習会御講話」S15.4.2.)
「腎臓に次いで重要なる機能は、何といっても心臓であらう。従而、本療法によって心臓が健全になった場合、疾患及び全身機能、精神的方面等に対し、如何なる好影響を及ぼすかといふ事を説いてみよう。
先づ、腎臓の余剰尿が集溜する局所としては、肩胛骨と脊柱との間が多い事は曩に説いた通りであるが、それは丁度心臓の裏面に当る所である。故に、此毒結が心臓を圧迫してゐる為、心臓の活動が妨げられるのは当然である。そうして心臓の活動の強弱は如何なる影響を与へるかといふに、曩に説いた如く、人体に於て心臓は火であり、肺臓は水であり胃は土であるといふ原理によって、それは次の如きものである。
先づ初め、心臓圧迫の毒素を溶解するに於て、心臓の活動が旺盛となり、其結果として火素の吸収が増加するから、水である肺臓の活動が強化されるのは勿論である。丁度水を温める火力が強くなるやうなものである。従而、肺臓の活動が旺盛になれば、結核患者の肺臓内に固結してゐる毒素は、溶解排泄が速かとなるので、治癒が促進される訳である。又、肺臓の活動は胃の活動を促進するから、食欲は増進するので、両々相俟って非常な効果を挙げる事になるのである。
そればかりではない、ここに見逃す事の出来ない事は、性格的に好変化が表はれて来るのである。元来、心臓なる機能は、熱の本源である関係上、性格的には愛の湧出する機能である。故に、心臓の活動力旺盛は、愛の情動が盛んになる事で、性格が一変する訳である。その例として、肺患者の性格を押並べて愛の熱が淡く、理性の方が勝つといふ事で、私が幾多の肺患者を扱った経験によっても、争ふ事の出来ない事実である。それは心臓が弱い時は愛の熱が不足する。その為、水が温くならないといふ訳である。
此意味に於て、此心臓医術によれば、肺結核の治癒は促進され、罹病者は減少するのであるから、結核問題解決に効果のある事は贅言(ゼイゲン)を要しないのである。
(中略)」 (「心臓医術」明医二 S17.9.28)
「(中略)病気とは再三説いた如く、毒素の排泄作用であるから、固結毒素を溶解する場合、熱が必要となる。其熱を心臓が吸収する役目であるから、平常よりも余分に火素を要するので、心臓はそれだけ活動を旺んにしなければならない。発熱の際鼓動が頻繁なのはそれが為であって、其際の悪寒は体温を心臓に補給する為不足となるからで、又呼吸頻繁なのは、心臓の活動を助ける為、肺臓は水分を余分に供給しなければならないが、それには熱は水分を加へる程力を増すからである。
又発熱の際食欲不振なのは、消化に要する熱量を、心臓へ奪はれるからである。此様にして毒結の溶解が終れば、熱の必要はなくなるから解熱するのである。之で心臓の実体は掴めたであらう。」 (「心臓」文創 S27.)