B-6、種子について
「有肥の種と無肥の種」
(前略)それで、今迄無肥料栽培に就て、非常に障碍があつたと言う事は農事試験場が、有肥と無肥と両方やつた処が、無肥の方が成績が悪いんです。それで、認められなかつた。処が良く調べて見ると、種を――有肥の種を使つた。そこに大変な間違があつたんですね。だから、有肥の種を無肥にすると、具合が悪いんです。丁度酒飲みが禁酒する様なものですから、やつぱり一時馬鹿みたいになつちやうんですね。
丁度、今度――あれを出して置きましたが――ビルマ米が日本に来たら、丸で出来ないんですね。処で、何故出来ないかと言うと、ビルマでは無肥でやつている、日本に来て有肥になつた。それが悪い。私の方の信者ですが、無肥でやつた処が、非常に良く出来て――之は一昨年ですが――三倍ですかね。穂まで持つて来ましたがね。沢山生つております。之は素晴しいと言つた。処が世間では全然出来ないんです。丁度、今の理窟の全然あべこべですね。そう言う事で、種も肥毒があつちやいけないと言う事を、良く出してありますから、そう言う事も気がつくと思います。そんな訳で出来る丈早く、日本中を切替えしなければいけないと思います。(後略)
(御教え集7号 昭和27年2月5日)
「種の重要性」
(前略)それから種が非常に肝腎です。無肥の種と有肥の種とでは大変な違いです。今度の報告では、無肥の種ですと初年度から増収になってます。それからこの頃は良く分ったでしょうが、最初のうちは黄色い穂が出るのです。有肥の方は青いのが出るのに、こっちは黄色い、細いのが出るというのですが、これは肥毒のためなのです。ですから、肥毒が抜けてしまえば、黄色いのも細いのも出なくなります。それで二年も三年もやっていてそういうのが出るというのは、種と土地にまだ肥毒が残っているのです。ですから少しでも黄色くなるうちは、うんと増収にはなりません。最初から青い穂が出る様なら、これは肥毒が抜けているのですから増収になります。それで肥毒が全く抜けると枝が出るのです。穂が出るのです。ですから幾らでも増えるのです。この穂に穂が出る様にならなければならないのです。これは肥毒が抜ければ、余程の寒冷地でない限りはそうなります。それを心得てやれば、素晴しい成績が上がります。(後略)
(御教え集19号 昭和28年2月7日)
「種と土に肥毒があっては駄目」
(前略)最後の方に官吏の説が書いてありますが、それは“農林省でも今まで無肥料で幾度も作っている。しかしどうも成績が悪い。だから駄目だ”というわけです。これは前から聞く事ですが、つまり彼等のやるのは種に肥毒があって土に肥毒があるのです。そのためにうまく出来ないのです。これは最初の一年目には苗が黄色くなって針のように細くなって心配するというのがありますが、それなのです。やっぱり麻薬中毒と同じで、麻薬が切れると、一時馬鹿みたいになってしまうのと同じで、根本を知らないから一年か二年の成績が悪いと、それで悪いものと決めてしまうのです。つまり熱冷ましをのんで熱を冷ますと一時よい、それで熱冷ましを止めると、今度はもっと高い熱が出るが、それを通り越せばよいが、そこまで頭が働かないからそういう事になるのです。(後略)
(御教え集26号 昭和28年9月16日)
「種は肝腎、問題は肥料」
「苗代を深く高くし、籾を播きますと、どうしても自然農法では苗代が短かい為に、今度苗取りを致します時非常に取り悪(ニク)いので、四尺三寸の幅に溝を作り、その土を上にあげ、そこに五、六分の――」
四尺三寸と言うのは苗代の大きさですか。
「左様で御座います。そう致しますと根が伸びるのに、根切れが良いと言うので御座いますが――」
水を少なくするんですね。
「左様で御座います」
そんなのは、どつちでも良いです。問題ではないです。そんな事は極く支葉末節なもので、どつちでも良いです。つまり問題は肥料だからね。肥料がなくなれば良いんだからね。それから、よく肥料に就て――種ですね。あれは極く肝腎だからね。種が、肥毒がある肥毒がないのは大変な違いだからね、種を――種屋だとか――普通の処で分けて貰つて、関心を持たないが、割合肝腎なんです。肥毒の種をやれば何にもならないんですからね。農事試験場でやつた処が――無肥と有肥をやつた処が、無肥が成績が悪いと言うが、種にあるんだからね。農林何号だとか朝日だとかやるが、却つて悪いですよ。種が肥毒中毒になつているからね。
(御垂示録8号 昭和27年3月1日)
「種の肥毒と土の肥毒の影響は・・・」
それから私は今度試してみたが、無肥料について、種にある肥毒と土にある肥毒は、土にある方の影響が多いです。種の肥毒の方が早く抜けます。だから一番良い事は、やっぱり客土です。これが一番手取り早いです。
私は今度チューリップを作って、土は少しも肥毒がない所で、チューリップの球根だけが、肥毒と言っても、あれはオワイはあんまりないので、油カスというようなものだから薄いのです。一年目は小さかったが、今年の二年目では倍くらいになって、枝が分れて咲いて、二輪になったのです。今度写真に撮って栄光に出します。今までに二輪というのはありませんね。それが二百本ばかりの中に四本出ました。
「この間見ましたのは、来年の花を咲かせるというので、ツボミを切っておりました。明主様のは昨年花を御楽しみになられたものでございましょうか」
そうです。切って使ったのもありますが、大部分は立ち腐れのものです。それで去年の倍くらいで、色が萌えるようです。そうして枝から枝が出て花が咲いているのです。今度写真に出ますから、見れば分ります。ですから種の肥毒は一年で抜けてしまったわけです。
(御垂示録20号 昭和28年5月1日)
「肥料の害・・・種子、土、人体」
“やはり最初は減収でせうか。
“種子や土も肥料を食ってゐるから二、三年駄目です。最初の年は収穫が2/3、次の年は1/3、次も1/3、次あたりからよくなる。無肥料でやると米なんか重いのです。一俵で二、三升は重くピカピカ光ってゐます。そして炊いても「コワメシ」の様です。――一番いけないのは硫安とか窒素とかの化学肥料が米から人間の体内に入る、これがどれ位人体に害を与へてゐるか判らないのです。野菜もさうです。家庭菜園で素人がクソなんかまくが、却って結果が悪い。肥料をやると花おちがし実にならず、又虫がつき易い。私の所の枝豆は虫のつくのなんか一粒もない。軟らかくて香りがよく美味いですよ。倍位出来ますよ。鎌倉の私の親戚のが胡瓜を無肥料でやった所一本から百幾つと出来、喰べられなくて困ったさうです。
(御光話録 昭和23年9月8日)
「あまり気候風土の違った所の種子は不可」
“穀類、野菜類の無肥料の種子を、気候風土の異った地方で播種致しまして良く出来るものでございませうか。御伺ひ致します。
“あまり違ってはいけない。試してみてからがよい。
(「他地の種子」S24・11・19)
「麦の種、湯に浸し撒くのは・・・」
“当地では今までは麦の種を播く前に或程度のお湯に浸して置いて播くと黒穂が無くなると言ひ実行して居ります。無肥料の種を無肥料耕作にて播くには右の事は必要ありませんでせうか。
“どっちでもよい。温めると発芽が早くなる。気候の暖かい所では必要ない。
(「麦種湯に浸す事」S24・11・26)
「よく実の入った種子」
“最近川崎式農耕法の指導者が、稲の種子モミの採取は若取りの方が病虫害が少なくて結果が良いと言っております。これは普通稲苅より半月程早く稲穂の先半分程をしごいて採取するのですが、無肥料栽培では種子はよく実が入った方が良いだろうと聞いて居ります。何れの方法で採取した方がよろしいでしょうか。御伺い致します。
“無論、稔った方がよい。
(「実の入った種子」S24・9・27)
「種蒔きは夕暮れに」
「日の暮れ方に種を播いた方が良いと言いますが」
水分があるから種の発育が良い。昼間は種の伸びが――発育が悪い。最初発育が悪いと、押して行くからね。
(御垂示録6号 昭和26年4月1日)
「種蒔きの時期等について」
“種蒔の時期及び苗代の作り方――
“土地によってちがう。稲の種子にも、土地にもよる。土地の百姓に聞くとよい。
適期の重要性
凡ゆるものに機運があり。枝豆の種を早く播いたり、二十日おきに播くが、遅く播いた方が早く沢山出来る。やはり早すぎても遅すぎても出来ない。
(「種蒔の時期、苗代の作り方」年代不明)