〔参考文献4〕
瑞雲郷地上天国 水晶殿上棟式挙行さる
瑞雲郷地上天国『水晶殿』の上棟式は、前日来の豪雨に曇りは一掃され、危ぶまれた天気も秋晴れの好天に恵まれ真に清々しい天国気分にて昭和二十九年十月二十八日午前十時より、約三百名の参集の下、盛大裡に挙行されました。
此処にその式次第をお伝え致します。
式次第
一、開式の辞
総務部長 石原幸作
本日ここに秋晴れの下、明主様の御守護によりまして目出たく水晶殿上棟式を執り行わせられます事は、御来賓の皆様はじめ職方一同とともにお慶び申し上げます。
御承知の通り本水晶殿は着工以来僅か一ヵ月半にして本日の上棟式をみましたので、これもひとえに明主様の御守護によります事は勿論でありますが、職方始め奉仕隊員及び関係各位の熱誠溢るる御奉仕の賜物と存じます。
水晶殿の完成はとりも直さず水晶世界の来たらんとする意義あるものと明主様より洩れ承っております。
幸い本日は好天に恵まれ、誠に教団の前途も洋々たる感があります。
甚だ簡単でありますが、これをもちまして開式の辞と致します。
一、御神前報告 管長先生
一、玉串奉奠
管長先生
役員信徒代表 百海聖一先生
造営部長 中村海老治先生
職方代表 椎野浅五郎氏
関係者代表 井口鈴一氏
一、天津祝詞唱和(管長先生先達)
一、投餅 管長先生
一、乾杯 管長先生の音頭にて
一、手打式 椎野氏音頭にて
一、閉式の辞
造営部長 中村海老治
明主様の御守護によりまして、ここに目出たく水晶殿上棟式を終らせて頂きました事を、皆様と共に心からお慶び申し上げます。この上は一日も早く完成し、明主様をお迎え申し上げたいと存じます。
最後に今後一層職方始め奉仕隊員各位の誠の御奉仕をお願い致します。
甚だ簡単ですが、これをもちまして閉式の辞と致します。
斯くて十時二十分無事式典は終了し、水晶殿完成も間近かに控え明主様の御入り頂ける日は目前に迫ったのであります。ということはどういうことになるか…それは現界に愈々水晶世界の完成することではないだろうか?とすれば水晶世界に住まわせて頂ける資格を一日も早く頂けるよう、益々御用に励ませて頂かねばならぬと思わせて頂くのであります。左に水晶殿建設現場責任者高野氏の御感想を御伝え致します。
(酒見記者)
高野氏談
「十二月より水晶殿を使用する旨九月十八日に承り、自分は今まで数多くの突貫作業をして来たが、今度の工事は一日でも延ばすということが出来ないので、長い経験を生かし、出来得る限り懸命にやらせて頂こうと思った。けれども自分一人がそういう気持でも他が動かなければ出来ない相談で、それで種々関係業者を集めて十八日夜、その工程を練った。しかもこの工事は画期的な工事であり、且つ今迄世界においてはドイツでこれに似たものを一箇所格納庫として造ったのみで、日本においても初めての設計なので、各業者が果たしてやれるかどうか懸念したが、全員がやれると確約してくれたので、自分も確信を得て、早速鉄骨の搬入に掛ったが、輸送面に隘路があり、予定よりやや後れたが、それもリベット組立等で取戻し、工程通り仕事が出来た。
コンクリート流し込みに関しては、奉仕者、各職方、関係者の熱意により、昼夜突貫工事で、予定通りの仕事が出来た。それよりコンクリートの乾燥を待って上棟式を迎えることが出来、アクリライト、部分的な附帯工事の打合せを完了して、明主様のお出ましを待ち、最後の打合せを十一月三日に済ませ、大体工事に対する見通しもつき、十一月一杯に完成する見通しがついた。
真に明主様の御守護は勿論、皆さんの不眠不休の努力の結果だと感謝致します」
栄光283号(昭和29年11月17日発行)
夢を見るような美しい眺め 熱海地上天国の水晶殿完成
岡田教主自ら企画設計されたという世界救世教=熱海瑞雲郷の地上天国は、すでにその八分通りが完成し、明年三月には完成祝典が盛大に挙行されるはずであるが、これに先立ち展望台の水晶殿は、夢の象徴の如きプラスチック張りの素晴らしい白亜の建物が完成したので、今後当分の間(冬期)はここを岡田教主の住所に宛てることとし、教主は十二月十一日から移った。この日展望台へ至る坂下から水晶殿まで、数千の信徒が立並び、来の宮の碧雲荘から午後一時半頃、自動車で来着した教主を迎えた。水晶殿は建坪八十坪内外の鉄筋コンクリート建だが、透明プラスチック張りで半円型の半型状をしており、庭園及びつつじ園の上にあり、眼前には初島が手に取る如く、はるか沖合には大島が備わる。しかも眼下一帯は熱海の海岸線から街々のながめ得もいわれず、まさにこの世の天国の思いがするほどである。ある外人はこの景観をまさに世界一と激賞したとも伝えられる。なおこの地上天国には箱根美術館の約二倍の広さをもつ鉄筋コンクリート三階建総建坪約五百坪の大美術館が建てられることになっているが、そのうち一、二階は各約二百坪の展示室、三階は特別室になるという。
新宗教新聞 昭和29年12月20日 81号
メシヤ教の水晶殿完成 半円形透明板の中に住む教主
工費約二億円で桃山高台の瑞雲郷に建設中のメシヤ会館は来年三月完成。盛大な落成式を挙行する予定だが、これに先立ち水晶殿が竣工した。水晶殿は半円型八十坪の柱を使わない外面プラスチック透明板の我が国でも珍らしい展望台式建物で、ここには、メシヤ教明主岡田茂吉氏が住むことになっており、屋内から地下道を通ってメシヤ会館に達するようになっている。
神静民報 昭和29年12月24日 2511号
江川勝利 「水晶殿 御開眼」より
明主様、只今、熱海駅まえを御通過なされました。御奉仕の方の連絡を聞くと、両側に整列しているお迎えの信者さん達は容ちを正し、咳一つする人もなく、全山粛として声もない。僅かに耳にするのは、それまで全く気が附かずにいた、松吹く風と、枯れ笹の葉の鳴る、僅かな音だけであった。
御通路にはこまかい砕石が敷きつめられ、その中央には箒目つけられた砂が三尺幅に撒かれている。明主様の召された自動車は、勾配の急な坂をも辷るが如くに登り、水晶殿の御車寄に着けられた。
明主様が御入御遊ばされたあと、管長、役員、会長が晴れて水晶殿への参入を許され、明主様の御出座を待つ。
しばしの間もなく、お懐かしい明主様、御出座。管長、信者一同を代表して水晶殿完成のお祝いを述べ、続いて、信者一同を今後もお救い下さいますよう願い上げます。と、御挨拶申し上げた。管長先生の短いこの御挨拶の裡には、水晶殿の完成、明主様の御魂入、浄化の熾烈等々さまざまの感慨が、信者一同を今後もお救い下さいますよう……。の言葉のうちに圧搾されている。と私は感じ、真の信仰に徹するに非らずんば……と、身のうちが引き緊るのを覚えた。
明主様は管長の御挨拶に頷かれ、水晶殿は地上天国の型の一つとして、神様がメシヤ教に造らせたもので、今後、浄化も強まるから、腹を据えて何事が起っても周章狼狽するような事のないように。また、教団の組織も変ってくるし、治病力……浄霊力の強い人、御奉仕の観念の強い人、それから信者を沢山導く人には段階がつけられる。と、御経綸の一端をお話し下された。
思えば六月十五日、メシヤ会館で御面接賜わって以来の、絶えて久しい信者との御対顔。然も、この度は御諭しと御教えの御言葉をいただけた忝なさに、
栄光289号(昭和30年1月1日発行)