食と農

B-11、「畑(野菜)」等について

   

「自然栽培は畑の方が水田より効果がある」

 

  (前略)畑の方が、自然栽培は水田よりも余計効果があるんですよ。というのは、水田の方は大雨が降つたりすると、荒れますから肥毒が流れるんです。処が畑の方は肥毒が流れないから害をするんです。そこで畑の方が水田よりも一層効果がある。之はやつた人は知つているでしようが、イモとか豆とかは一、二年で倍になるんですね。(後略)

                      (御教え集9  昭和27426)

 

         

畑の肥毒を抜くには・・・」

 

     「無肥料栽培で、野菜の栽培が割方困難ですが、それは人糞をかけている程困難な様で御座います」

 

  そうです。稲は水田ですから肥毒が早く減り易い。片つ方は土に喰い込んでいるから、そう言うのは掘り返して、人糞の方を下にやつて、下のを上にやると良い。

 

                      (御垂示録6  昭和2641)

 

                       

「土壌を温める」

 

   (前略)今一つ注意すべきは土壌を温める事で、普通の野菜に於ては堆肥は地下の一尺位深さに一尺位の積層即ち床を作るとよい。ただ大根、人参、牛蒡の如き、根が目的のものは、堆肥の深さもそれに準ずべきで、其場合草葉の堆肥を土とよく混ぜ合す事、木の葉の堆肥は右の如く地上の床作りにする事、之れが理想的である。(後略)

                                     

(「無肥料栽培」自叢二  昭和2471日)

 

              

「除草の時期について」

 

     「除草の際、土用過ぎになると根をけずるのはいけないと、又二百十日の際に倒伏すると言われておりますが、自然農法の場合は、如何で御座居ましようか」

 

  除草は問題ではない。良いと思う時にすればいい。無肥料になると草の生え方が違う。米の生長する力が強くなるから雑草の生える力が弱くなる。神様は人間の生命を保つものには、強い力を与えている。故に無肥料になると除草が楽になる。

                                               (御垂示録1  昭和2685)

 

      

「野菜の無肥料栽培に就ての諸注意」

 

    野菜の無肥料栽培に就て御伺ひ致したいのですが。

 

“やり方は今までと同じですがね。今までの畑は肥料があるから悪い。又種子にも毒が入ってゐるから三年位は駄目です。だから畑は新しい土を入れ替える。長く作ると土の養分がなくなるといはれて来たがさうではなく、使ふ程土の養分が出る。砂を焼いて入れるのも不自然だからいけない。無肥料でやると物によっては初めからよくとれるのもあるが大体二、三年から四年位経ってから収穫がふえる。堆肥は使ってよい。この腐らしに加減が要るんです。木の葉は葉のすじが残ってゐてはいけない。堆肥を使ふといゝのは、堆肥に肥料があるからではなく、熱が出るからいゝんです。肥料の成分――窒素にしても空中に充分ある。それは地霊ですが、その上に製造したのをやるでせう、だから多すぎて了ふんです。燐酸やカリも同じで熱を起す働きですが却って毒が加はる。土が酸性になるのは肥料をやりすぎたためです。第一土は生かしてやらねばならない。だから連作してやらねばいけない。箱根で栽培してゐるんでも、ナスやトーモロコシを連作してますが、それでよく出来るんです。而も悪い石だらけの土地で、第一虫がつかない。虫なんかは肥料から生じる。だから消毒、殺虫剤を使ふのは間違ひです。あんな薬をぶっかけたら虫は死んでも、土が荒れて了ふ。トーモロコシなんかもう五、六年やってゐる。神山荘の近くの呑本の婆さんがビックリして種をくれといふから、種子がいゝのじゃないと云ってやったんです。果樹は私はやってないが、今迄の様に剪定は必要でせう。枝豆はとても虫がつき易いんですが箱根の枝豆には全然虫がつかない。

 

   半年程前に青森の林檎の産地で薬を使はず小鳥とか蜂、蛙などを使って害虫駆除に成功したといふ記事がありました。

 

“さう、小鳥なんかそのために神様が生かしてある。作物は根の伸び易い様にしたらいゝ。堆肥を使ふ時も木の葉の固いすじに根がつかえない様に腐らかして了ふ。草ならば余り固くないからさうでもない。土が固まって了ふのを防ぐのが堆肥です。専門家は根によく空気を入れるといゝと云ってるが、そんなら空中にさらして了ったらいゝ。中耕も土を固めぬためです。箱根で古くて小さい、いぢけて了った木を見ると下に石が沢山ある。それが邪魔して発育が悪いんです。根が石なんか割りますからね、すごい力です。だから耕すのも固まらせない事が必要です。麦踏みは霜のためですね、冬を越すから。霜は上からでなく下から土をもち上げる。だから土がふかふかして了ふ。それを防ぐために麦を踏むんだからあれはいゝ。野菜の中、根を喰べるものは根に陽が当る様にすればよくとれる。甘藷などは畝幅を開けて、又一番よく陽が当る様に畝の方向を按配する。さうするととても大きくなりますよ。上野毛でも大きなのが出来た。一番よく判るのは雑草です。虫がくってないでせう。あれは肥料をやらないから。第一、肥料をやらないと旨いんですよ。茄子なんかいゝ香りがして、ジャガイモなんかも真白でいゝ香りがしますよ。だから無肥料のを喰べつけると、クソなんかまいて作ったのなんか食えない。大根でもガリガリ云ふのは皆肥料です。無肥料だとキメが細かくてねと細かくてねとしてます。普通は大根にはよく肥料をやるんですよ。まるでクソまみれです。サツマイモは農林やオイランはすじがない。キントキは無肥料でもすじはあります。

 

                                          (御光話録  昭和2348)

 

                  

「畝の向きについて」

 

   (前略)よく畝を東西が良いとか南北がよいとか言われるが、これは日当りが目的であるからその場所の日当りと風向を考慮して作ればいいのである、風当りが強いと茎を折ったり土を飛ばしたりするからこれは必ず風除け林を作り、適当な垣等をなすべきである。(後略)

 

(「農業の大革命  清潔で心から楽しめる  家庭菜園の無肥料栽培」光3  昭和24330日)