食と農
B-11-2-③、花について
「自然栽培は花でもこの通り」
右の写真は今度私の庭に栽培した約二百本のチューリップの中から、四本だけ枝が出た。その中の一本を写したのである。以前から私はチューリップが好きで度々作っているが、枝が出たのは今度が初めてなので驚いたのである。勿論今までに見た事も聞いた事もないからで、しかも花は普通よりも二倍大で、色も非常に好く、赤色で水の滴るような鮮かさなので、珍らしいと思った。これは信者の人が一昨年植えて呉れたもので、昨年は普通の花であったが、今年は俄然として右のような花が咲いたので、全く昨年は球根に肥毒が残っていたからで、それが二年目の今年肥毒が大いに減った為であろう。従って来年は一層好い花が咲くに違いないと、今から期待している訳である。しかも堆肥も使わず、土ばかりでこの成績なので自然栽培の威力は花卉類でも同様である事が分る。これによってみても種子の肥毒は早く抜け、土の肥毒の方が暇がかかる事が分るのである。従って水田なども肥毒の多い土は、客土した方がいい訳である。
そうして寸法を計ってみたら
上の花は 丈が 三寸 直径 三寸九分
下の花は 同 二寸四分 同 四寸一分
茎の長さ 二尺一寸五分
(「自然栽培は花でもこの通り」栄209号 昭和28年5月20日)
「摘芽や交配等、改良はよい」
“花作りや盆栽などの場合 芽を摘んだり撓めたり交配などを行ひますが、自然に反せぬものでせうか。又施肥によって栽培の効果をあげて居りますが、やはり間違ひでせうか。
“大いに改良する方がよい。肥料がいけない。果物など、原始時代からいへば、ズーッと殖えている。神様が最初に造った時は、貧弱なものであった。施肥は一時的なものである。
(「摘芽や交配」S24・10・24)
「花の色良くするには」
“草花の栽培には従来色々の肥料にて大きく咲かせたり、色を鮮かにしたりして居りますが、やはり科学的肥料は不可でせうか。自然にすれば 野生にかへると思ひますが、如何でせうか。御伺ひ致します。
“色をよくするにも、大きく咲かすにも無肥料がよい。化学肥料だと色わるく、花が小さい。花を少くすれば大きくなる。ダリヤなど蕾を皆とり、一つだけ残すととても大きくなる。色をよくするには堆肥がよい。土を固まらせぬ。
(「草花の色良くするには」S24・5・25)
「菜種粕を花の肥料には」
“草花の肥料として菜種粕を使用して居りましたら、菊花類等大変良く咲き、大輪も出来、虫類などもつかない様に思います。無肥料に致しますと、花も小さくなり、数も少くなります。無肥料で大輪を咲かせるには如何に致したらよろしいでしょうか。お伺い申し上げます。
“無肥なら大輪が咲く。一時は悪いが、根が固まるといけない。土を固めない工夫がいい。
(「草花の肥料」S24・9・16)
「カーネーションの温室栽培について」
「カーネーションの温室栽培でございますが、棚に土を五寸程度において致しておりますが、これは不自然でございましょうか」
そんな事はありません。土さえ自然ならよいのです。それで土にコヤシではないが、オガ屑とかいろいろ混ぜますが、それはいけません。飽くまでも土だけです。ですから堆肥も、本当はやらない方が良く出来ます。ただ赤土のように非常に固まりやすいのは、それを防ぐために堆肥を入れるのですが、そのうちにだんだん固まらない土になって行きますから、そうなったら堆肥は必要ありません。ですから堆肥というのは永久的な物でなく、一時的の物です。
(御垂示録20号 昭和28年5月1日)