食と農」
食」について
B-11-1-①、「芋類」について
「芋類について」
(前略)そうして無肥料栽培に於ては決して失敗のない事である。よく素人が馬鈴薯などを作る場合芋が小さく且つ少いとか、全然無収穫などの歎声を聞くが、それは肥料の多過ぎる為である事に気付かない結果、反対に成績不良なのは肥料の少き為と誤解し、益々肥料を用ゐるから倍々成績が悪くなる。而も此際指導者又は経験者に質ねる場合「その原因は種子の不良や不適期に播くから」とか「土壌の酸性に因る為」などといひ、全く的外れで真の原因に気付く由もないのである。処が無肥料による馬鈴薯は極めて白色で、香気が高く、ネットリと舌触りよく、品種が異ふかと思ふ程の美味である。勿論八ツ頭、里芋等もそうであるが、特に薩摩芋は高畝にし、畝の間隔を広くし、日当りを充分よくすればその容積の巨大なると美味なる事とは驚くの外ないのである。最も農家に於ても薩摩芋は余り施肥をしないようである。(後略) (「無肥料栽培」自叢二
昭和24年7月1日)
(前略)芋類特に薩摩芋はその巨大なる事驚くべきで、長く掘らずにおくと薩摩芋とは思えぬ程の大きさになるのである。(後略) (「農業の大革命 清潔で心から楽しめる 家庭菜園の無肥料栽培」光3号 昭和24年3月30日)
「薩摩芋の特徴と栽培方法」
(前略)それからもう一つは、私は芋が好きで、薩摩芋を毎日食べるのですが、実におかしいのは細長い薩摩芋があるのです。これが無肥ですと太って丸い薩摩芋が出来るのです。前に私が宝山荘で試験した時に、太って丸いのです。それで或る人が薩摩芋が欲しいと言うので一つやりましたが、なにしろ普通の五、六本分の量があります。それは金時ですが実に美味いのです。この頃は金時は作らないようですが、まるで金時のように白く粉をふいたようになってますが、殆んど農林一号です。それで美味そうに見えるが、食べてみるとそうでもありません。味が悪いのです。最近は金時はだんだん止(ヤ)めて来たようです。ところが芋の作り方が違うのです。無論肥毒があるのです。その肥毒を消すために窒素肥料をやりますが、これが大変悪いのです。それで薩摩芋はできるだけ高畝(タカウネ)にして、横から日が当るようにするとよいです。それからよく蔓を切ったり裏返したりしますが、そういう事は決してしなくてもよいのです。そうして何処までも自然にするのです。それから間(アイダ)も詰めなくて、開けておいてよいのです。一番肝腎なのは高畝にして日を横から当てる事です。そうしたらウンと大きな物が出来ます。金時でも立派に採算(サイサン)がとれます。私は金時ばかり作りましたが、今言ったように大きなのが出来ました。それから薩摩芋は特に肥毒を嫌うのです。それから土の固まるのを嫌います。ですから幾らか砂気がある方がよいです。そこで薩摩芋は海岸が割によく出来るのです。そういうような工合で、今言ったようにして金時を作って試験してみる事です。きっと良いです。お蔭話にありますが、堆肥を一反分何貫目入れたとか、何畝に何貫とか言って、大変な事です。如何に堆肥を重要視しているかという事が分ります。ですから今後はできるだけ堆肥も使わないようにして、土ばかりにするようにする事で、そうすると又よく出来ます。これは去年の佐渡では、堆肥もやらない方がよく出来たと報告がありましたが、その方が理窟に合っているのです。なにしろ人間は間違ったいろんな習慣のために、それがこびりついてしまって、どうも切り替えなどもはっきりしないのです。(後略) (御教え集25号
昭和28年8月27日)
「サツマイモについて」
サツマイモは大きいので目方は何の位が普通ですか。
「大体二百匁から五百匁と言う処で、皆丸く――フツトボールの様で御座います」
有肥栽培でも、その位のが出来ますか。
「出来ません」
そうでしよう。兎に角、無肥の方は、大きいのが出来るんでね。この間大きいので五百五十匁かあつた。だから、サツマイモも無肥でやつていくと丸くなります。長細いものは段々少なくなつて、段々丸くなります。ジヤガイモみたいになる。
「保存が非常にききます」
ききますよ。米でも野菜でも、肥料がなければ――神様がそう言う様に作つてある――保存がきく様に作つてある。
(御垂示録5号 昭和26年12月6日)
「甘藷の植付け時期」
“甘藷の種藷の植付け時期をお教え下さい。
“これは土地によって違う。私は適期を重要視するのである。箱根で枝豆を試作したが、早く播いたのは出来が悪く、二回、三回と播いたが、遅く播いたのが成績が良かった。箱根は陽気が寒いから、遅い方が適期に合った訳である。
(「甘藷の植付け時期」年代不明)
「無肥料の芋について」
「芋も人糞を使わない処は成績が宜敷う御座います」
芋は一年か二年で倍化する。と言うのは、百姓は、芋には余り肥料をやらない方が良いと言うので、それで成績がよい。その次は豆ですね。
「名古屋近傍では、肥料を沢山入れて居りますので、初年目は収入皆無と言う状態で、それを辛抱すると良くなつて参ります」
そう言うのは客土が良いですね。然し、客土と言うが、浄霊が良いですね。肥料と言うのは、汚物――汚たないんだからね。人間で言えば毒血みたいなもので、こう(浄霊)やれば、毒分が溶けていくんです。薩摩芋も今迄は細長かつたが。無肥料になると丸くなる。細長いと言う事は余りない様になる。肥るからね。目方なんか、倍位になる。
「今迄は、埋けて置きますと腐ります」
腐り易いです。毒だからね。芋の貯蔵なんか無肥料だと楽になりますね。
「米も大変違います」
そうですね。
「じやが芋は北海道のが良いと言う事を言つて居りますが――」
肥料の為ですね。北海道は広いから、肥料をたんとやれないからで、考え方が馬鹿々々しいですよ。芋は暖かい方が良いんですからね。それを、北海道と言うのわね。無肥料のは良いですからね。
「よく、土があつているんだろうと聞きましたが――」
だから、土ではなくて根本が分れば色んな事の間違いが、実に良く分ります。 (御垂示録4号 昭和26年11月5日)
「ジャガイモについて」
「ジャガイモは寒い所のが良いとか、高い所の土地から低い方に移した方が良いという事は、肥料の関係でございましょうか」
ジャガイモは寒い暖かいは関係ありません。それから北海道のが良いとしているが、それは北海道は広いので肥料が行き渡らないからです。
「最近は古くからやっております地方は駄目になっております」
「寒冷地帯の苗代で保温摂取苗代というので、水を少しかけておいて、苗をまいた上に油紙をかけておくと早く伸びるそうでございます」
それは良いです。油紙から肥料が出るわけではないから……。
ジャガイモなどの自然栽培の物は美味いです。色が真白で、良い香りがしてます。
「ジャガイモは最初から増収して、倍、三倍となる様でございます」
そうです。 (御垂示録19号 昭和28年4月1日)
“馬鈴薯を作るには、北海道の種薯が良いと申しますが、他の地方でもやはり北海道のものを使用した方が宜しいでせうか。
“そんな事はありませんよ。馬鈴薯ってのは割に寒い所がいゝんです。それで北海道のがいゝって言ふんですがね、無肥料にすれば北海道以上のがどんどん出来ますよ。そりゃあ素晴らしいもんですよ。真白で、ネットリしてゝ、香りがよくてね、全く何とも言へませんよ。 (御光話録9号
昭和24年)
(前略)馬鈴薯は色真白にてネットリし香気強く味覚をそそる事夥しい、しかも素人栽培の場合よく薯(イモ)つきが悪いとか、育ちが悪いなどという事は肥料の為であるから無肥なら芋つきがよく数も多いのである。(後略)
(「農業の大革命 清潔で心から楽しめる 家庭菜園の無肥料栽培」光3号 昭和24年3月30日)
「馬鈴薯の植付け法」
“馬鈴薯の植付けに今迄は一個のイモを二つ乃至三つ位に切断し、切口に灰を塗って植えておりましたが、今後はどのように致したらよいのでしょうか。
“灰を入れぬ方がよい。 (「馬鈴薯の植付け法」年代不明)
「種馬鈴薯について」
“現在は北海道の種馬鈴薯が当地方でも奨励されて居りますが、無肥料栽培が普及すると必要なくなりましょうか。
“必要ない。無肥料でやれば、とてもいいものがとれる。
(「種薯の移入」年代不明)
「里芋に花が咲く」
“今年、相模原方面に里芋の花が咲いておりますが、里芋に花が咲く事は極くまれで、老人はこれを悪い事の前兆の様に申しますが、何かわけがございますでせうか。
“こういふ変った事のあるのは変った事の出る訳である。何かの前兆であらう。 (「里芋の花咲く」S24・11・14