食と農

「米不作の原因」

                            

「米不作の原因」

 

 

 

 (前略)何故米がそんなに穫れないかといふと、之には実に想像もつかない処に原因があるのであります。といふのは皆さん、驚いてはいけません。其原因とは、農業の生命としてゐる人肥、金肥、即ち人為肥料を施す為なので、つまり此肥料によって土を殺して了ふのであります。元来土は肥料の塊りといってもいい位のものであるから、土を生かさなければいけないので、それには堆肥だけで他の不純物は一切やらないやうにする。そうすれば土自体の力が十分発揮されるので、自然栽培を五ケ年続ければ、驚く勿れ五割増産は確実であります。とすれば、六千万石の五割増は九千万石であり、日本人が鱈腹(タラフク)食っても尚余る位であるから、あべこべに輸出先を心配するやうになるでせう。斯うなれば農民諸君は福々で、購買力も増へるから中小商工業者も潤ひ、不景気風など吹ッ飛んで了ふでありませう。(後略)

 

(「舌に代えて」昭和26年)

 

             

「不作の原因は肥料の為」

 

   農業の事を一寸かきましたが、新聞なんかでも、今年は平年作は一寸難しいだろう。兎に角年々減産の傾向があるですね。処が農地改良とか――色んな事をやつているが年々減る傾向だ。之は肥料ですね。肥料の為と言う事は分りきつている。

 

  そこで近頃、米国が主ですけれど、学者が色々研究した結果化学肥料が悪いと言う事が分つて来て、かなり多くの学者や実験家がそう言う説を唱えて来た。そう言う色々な研究を松井さんと言う人が調べて来て、今度一冊の本にして――小さい本ですが――出版しようと思うが、大いに農村に配る様にする。大体日本人は、西洋で始めたものなら何でも良いと言う----一種の迷信ですね肥料なんかも。農民と雖も、外国で唱え出したものは信用すると言うので、相当効果があると思います。

 

                                 (御教え集1  昭和2688)

 

     

「化学肥料(硫安)で態々穫れなくしている」

 

 

 

 (前略)何としても農業問題ですね。食糧問題――之を解決しなければしようがないですね。今年なんか、硫安は相場が千円と言うんですね。去年で、一番高い時が八百五十円でしたが、大抵普通七百円台でしたがね。それが今年は千円で、まだ上がると言うんですからね。どうしても千百円になるだろうと言つてます。それも良いが、それを買つて態々穫れなくするんですからね。馬鹿と言う言葉じや、ぴつたりしないですが、それ以上の言葉がないですからね。馬鹿の馬鹿と言うよりないですね。全く見ては居られないですね。どうして人間が無智蒙昧になつたかと思つてね。全く文化的野蕃人ですね。だから、どうしても知らせなければならない。(後略)      

 

 (御教え集6  昭和27125)

 

                     

「化学肥料の害」

 

(前略)自然農法は日本ばかりでなく、むしろ世界的の救いになるわけです。全く人間の考えというものは非常に浅いものです。やっぱり硫安などをやると、一時何年間か非常に良く出来るので、すっかり惚れ込んでしまうのです。ところがそうしているうちに、だんだんとれなくなるのです。それで、とれなくなった事に気が付かないで、最初の一時良くなった事がすっかり頭にしみ込んでいるのです。丁度麻薬と同じ事です。最初は美人なので惚れているうちに、それがカサッかきになっても、それに気が付かないというわけです。(後略)          

 

(御教え集19  昭和28225)