概 論

 

2,病原の三毒に就いて

 

① 然毒に就いて

「種痘の効果は、天然痘に罹らないといふ事は知らぬものはない程明かである。然し是に稽(カンガ)ふべきは、天然痘に罹らないといふ事は、天然痘の毒素が解消したといふ事ではない。チフス菌があっても発病しない人が往々あるのと同じ訳である。

 

 人間は生れながらにして、先天的に有してゐる遺伝毒とでもいふ毒素を持ってゐる。それは天然痘、麻疹、百日咳等で、之等は誰もよく知ってゐる所である。そうして、之等の毒素が或時期に至り、浄化作用が起って体外へ排泄されんとする、それが発病である。

 

然るに、種痘はその毒素の排泄を停止させるのである。つまり、その毒素の浄化作用を弱らせるのである。言ひ換へれば、陽性毒素を陰性毒素にする事である。決して種痘によって毒素そのものが消滅したのではない。陰性となって体内に滞溜する事となったのである。(中略)」        
                        (「天然痘と種痘」医試  S14)


陰性化されたる天然痘毒素は、(中略)人体内の何れかに浄化作用によって集溜するのである。その集溜する個所は、感冒の項に述べたる通りの個所にて、感冒の浄化作用停止が回を累ねる結果、肺結核となるのであるから、近来の結核の増加は、感冒を防止する事により、感冒は陰性化天然痘毒素であり、それは又、種痘の為であるから、結核増加の根本的原因は、種痘といふ事になるのである。

 

 此毒素は独り結核のみではない。凡ゆる病原となるのであって、例へば、結核と同じく、激増しつつある腺病質の虚弱児と雖も、右の結核と同様の経路にて、感冒防止が原因である。(中略)

 

 其他、凡ゆる病原となるのであるが、此毒素の外に、薬毒、尿毒-等も説明をし、此三毒による病原を詳しく説明する事にする。」                     
(「病原としての天然痘毒素」医試  S14)


「茲で先天性毒素について説明してみるが、後天性毒素とは勿論生まれてから後に入れた薬毒であるが、では先天性毒素とは何かというと、これこそ祖先以来遺伝されて来た薬毒であって、日本の諺に"自惚と瘡気(カサケ)のない者はない"という言葉があるが、この瘡気こそ昔から俗間でいう胎毒であり、近代医学では遺伝黴毒というのである。勿論これは薬毒の古くなったもので、どうしても一度はその排除作用が発生しなければならない。それが天然痘である。(中略)

 

 処で茲で知らねばならない事は、種痘によって天然痘毒素は消滅したのではない。単に然毒排除の力を弱らせたまでであるから、然毒はその儘体内に残り、これが種々の病原となる今その順序をかいてみるが、然毒は時を経て何れかの個所に集溜し固結する。その浄化作用が感冒であり、又種々の皮膚病、擬似小児麻痺、脳膜炎、小児の腺病質等であり、その他の病原となる事もある。(中略)

 

この理によって人類から天然痘を駆逐するには、薬剤を全部海へ捨ててしまうより外はないが、しかしそうしても急には効果は現れない。というのは何しろ何世紀もの間薬詰めにして来た人間であるからで、全く解消してしまうには少なくも二、三代は掛かると見ねばなるまい。しかし漸次的に薬毒が減少するから、仮令発病してもその都度軽く済むようになるのは勿論、我浄霊法によればその人一代で済むのである。

 

 故に一般人としたら今直ぐに種痘を廃めなくともいい、その人一代薬を廃めれば、次の子供の代は軽く済み、孫の代位から絶無となるであろう。そうして種痘なるものの効果は醜い痘痕を残さないだけの事で、他に与える悪影響の方がそれ以上である。というのは今日流行の注射である。これは全く種痘からヒントを得たものであろうが、注射による被害の如何に恐るべきかは、この著を読めば納得されるであろう。(中略)」         
(「種痘と薬毒」ア救  S28.1.1)

 

痛みは全て薬毒だとお教え頂いて居りますが、母親が三年間無医薬で出来た子ですが、痛みが出ますのは然毒でしょうか)

 

 之は然毒でなくて薬毒です。然毒が薬毒だから、之は古いんだから、かゆいんです。痛いのではなくて、かゆい方です。

 

(一代位では取れませんでしょうか)

 

然毒は一代位では駄目です。数代ですね。天然痘は、古いのは極くかゆいんです。新しいのは、かゆいのと痛いのです。

 

(種痘致しませんと、天然痘の様に出て参りませんでしょうか)

 

必ず、とは言えません。少ないのと、多いのとあるから、

 

(疥癬が済んでますのは――)

 

疥癬が然毒ですから、済んでるのは出ませんよ。疥癬のひどいのは天然痘の様ですから。」    
(「御垂示録1号」 S26.8.1.)