食と農
「食」について
11-4、味覚と食物
「人間が食べるものと味覚について」
(前略)食物に就て説いてみよう。食物とは何ぞや、いふ迄もなく人間を初め凡ゆる生物を造られた造物主が、その生命を保たしむる目的を以て、それぞれその生物に適合する食物を与へられてゐるのは自明の理である。故に人間には“人間が食すべきもの”として、大体定められてゐるのである。そうして如何なる食物が人間に与へられたるものでありやを知るべきであるが、之は洵に容易な事である。何となれば、その条件として「味はひ」なる要素があるから、それによってよく分るのである。即ち、造物主は人間に対しては、味覚なる本能を与へ、食物には「味はひ」なるものを含ましてある。
此理に由って、すべての食物にはそれぞれの味はひがあり、それを楽しみつつ食する事によって栄養となり、生が営なまれるのである。故に、ヴィタミンがどうの蛋白質がどうのなどといふ事は、何等の意義をなさないのである。
前述の如く、ヴィタミンの如き栄養素が仮に人体に必要であるとすれば、如何なる食物からでも体内の機能が製産し、変化させるのであるから、食物に関する限り自然で可いので、特に栄養学などと、学問的に研究する必要がないのみか、却って有害でさへあるのである。此理に由って、各人それぞれの環境、職業、体質等によって、嗜好物にも自然差異が生ずるのであるが、その時欲する物は、その人に必要であるから摂れば可いのである。喉の涸いた時、水がほしいのと同様である。(後略)
(「栄養学」明医一 昭和18年10月5日)
(「栄養学」明医二 昭和17年9月28日)
(「栄養学」天 昭和22年2月5日)類似
「食物と人間の味覚の関係」
(前略)本来造物主は人間を造ると共に、人間が生きてゆけるだけの食料や其他一切のものを造られてをり其為に土壌や海川に其力を附与され、植物鉱物等は元より、空気日月星辰悉くがそうである。そうして単に食物といっても一定の条件がある。条件といふのは食ふべきものと、食うべからざるものとが別けられてある。従って其必要から人間には味覚を与へ、食物には味を含ませてある。又食物の種類も色々あり、悉く人間の健康や環境に適合するやう造られてゐる。例へば塩分が必要な時には塩辛い物が食ひたくなり、甘味が必要な時は甘味が食べたくなり、水分の必要な場合は咽喉が渇くといふやうに、自然は必要によって意欲が起るやうに造られてゐる。それと共に消化器能も一定の条件に適ふやうに出来てゐる。即ち食うべきものは悉く消化されるが、食ふべからざるものは、処理されないで残存する。此理によって薬剤は異物であるから、消化処理されないので、之が古くなると毒素に変化して了ふ。その毒素の排除作用が病気であるから、病原はとりも直さず薬剤といふ事になる。喀痰、鼻汁、汗、膿、毒血などは悉く薬毒の変化したものであるから、世に薬剤程恐るべきものはないのである。(後略) (「科学篇
薬毒の害」文創 昭和27年)
「食物にも食べていいものと悪い物がある」
(前略)抑々人間が口へ入れるものとしては、造物主が人間を造ると同時に生を営むべく用意されたのが食物である。そうして食物にも人間が食うべきものと、食うべからざるものとは自ら別けられている。即ち食うべきものには味を含ませ、人間には味覚を与えられているのであるから、人間は食いたいものを楽しんで食えば、それで栄養は充分摂れるので、これだけを考えても造物主の周到なるは分る筈である。この意味に於て生きんが為に食物を摂るというよりも、食物を摂る事によって生きてゆける(中略)
右の如く人間の体内機能は、食物として定められた物以外の異物は、完全に処理出来ないようになっているので、薬は異物である以上、含まれている栄養分だけは吸収されるが他は体内に残ってしまう。これが薬毒であって、しかも厄介な事にはこれが各局部に集溜し、時の経つにつれて固結してしまう。その集溜個所としては神経を使う処に限られている。(後略)
(「病気とは何ぞや」ア救 昭和28年1月1日)
「食物は美味しく食べればいい」
(前略)食物を喰べる事もそれと同じで美味しく喰べればいゝんです。それがちゃんと栄養にもなるのです。だからにがいものが好きなら兎も角、好きでもないのに栄養だからと言って無理して喰べるのは間違ひですよ。(後略) (御光話録4号 昭和24年2月18日)
「味が栄養」
(前略)神様は人間に美味しい味のある物は、之は食べろ、味というものが栄養になるのだから、味のない苦い物とか不味い物は食べてはいけない。そういう為にあるのだから、それを我慢して食べるのは間違つている。という事は本にも書いてありますから、それをその儘とる様にすれば間違ないのです。だからつまり自然という事を忘れない事と、常識で判断する事を守つて居れば、先ず間違ないという事です。(後略)
(御教え集13号 昭和27年8月27日)