食と農


「食」について

 

10-4、病人に対する食事


「衰弱している場合、病人の欲しがるものを与へる」
“衰弱してる人に牛乳や卵なんかは――


 “それは栄養食ではないですね。衰へると完成品にする働きが鈍りますから、或程度完成したものがいゝですね。一番いゝのは病人の欲しがるものを与へることです。リンゴなんかをおろしてやるのもいゝですが、果物はリンゴより汁の多い方がいい。医学は外国人を基にしてゐるから、日本在来のもの、例へばアンコの様なものは病人に与へることを禁じますが、アンコなんかは材料は小豆で砂糖も入って居り非常に栄養はいゝのですがね。之は西洋にはアンコなんかないからで、医者の本にも書いてないから禁じるのですね。栄養とは私は食物殊に野菜の中の霊気の強いものをいふのです。野菜でも西洋のは霊気が薄い。日本の土地の方が霊気が強いから作物も強くなるのです。馬鈴薯なんか私は余りたべません。松茸なんか非常に強いのです。だから香りも強いのです。香りの強いものは霊気が強いと思ってよい。果物は香りがあり汁気の多いものが霊気が強い。柑橘類はいゝですよ。胃潰瘍なんかの場合は「おかゆ」がいゝです、胃壁がたゞれてゐるのだから。出血するなら流動食、出血が止んだらおかゆ、それで調子がよかったらごはんにしたら宜しい。チブスなんかも同じで、腸出血のために死ぬ事があります。私は下痢の時、水の様に下る時はおもゆの薄いのを食べ、便が固まるにつれて食物も固いのをたべる様にしてゐます。                        (御光話録  昭和23年11月18日)


「食欲の起らない時は食べない事」

  (前略)食欲のない時我慢して食ふのは極くわるい。食欲起らねば半日でも一日でも食はなければよい。     (「食欲」S23・10・22)


「食べたいと思うのは身体が要求している」

  (前略)「胃腸の衰弱の場合にも流動物で――」


  今言つた様に急に固い物をやると無理だから、それは加減してやるというわけです。それから別に症状がないのは、消化の良い物ばかり食べているから弱つているものもありますから、そういうのはお茶漬が反つて良いのです。だからその見別けは別に難かしい事はない。良く聞いて之は之だなという事で分ります。それから食べたいというのは身体が要求しているのだから、それで良いのです。よく食べたくないのに無理しておあがりと言うのは、あれはいけない。一週間やそこら断食しても何でもない。(中略)それでも先ず三週間は大丈夫です。(中略)それまで食べなくても大丈夫です。食欲の無い人――病人は衰弱しているから無理でしようが、食べたくない人は三週間やそこら食べなくても大丈夫です。(後略)      (御教え集13号  昭和27年8月27日)

     

「身体が良くなると甘い物が好きになる」

  (前略)身体の悪い人は甘い物を好かないですね。だから、病人でも治る様になると、甘い物を食べる様になる。之は覚えて置くと良いが、病人と言うのはスツパイ物が好きでね。で、良くなると甘い物が好きになる。(中略)お茶漬は極く良いですよ。それから噛み方は普通の噛み方ですか。


        「左様で御座います」


  長い間噛むといけませんよ。食欲が減ります。食欲を増すには、生ま噛みに限る。飲込む様にすると、それは腹が減るからね。(後略)                    (御教え集8号  昭和27年3月17日)


「食べ物と出血の関係」

  (前略)一般に出血の場合は野菜を食ふとすぐ止る。肺病なども野菜食にすると喀血はすぐ止る。そして肉食すると又喀血するのである。固まって溶けてくる時は痛む。
  日本人は、芝居でみる如く腹を切り乍ら喋っている。日本人の身体は締りがあるので、身体にくっつくから、そう出血はしない。之は野菜食の為である。(後略)       (「出血の場合」S23・7・25)