B-⑥ 咽喉(のど)疾患                  ⑥-2,扁桃腺肥大症
「先づ第一は扁桃腺肥大症である。此病気は実に医家が作るのであって、そうしておいて手術で抜除しやうとするのであるから、全く困った事である。それは斯うである。

 

元来扁桃腺なるものは、人体不断の浄化作用によって作出さるる、其不純物即ち膿が淋巴腺に集注し、それが又外部へ排除されるその排け口が扁桃腺である。それが為一旦膿が扁桃腺に集溜されるのである。然し、其際の膿は濃度であるから、排泄を容易ならしむるには稀薄にする必要がある。それが為の発熱である。故に、発熱のまま放任してをけば、極めて順調に膿は排泄され治癒するのであるのに、医療はそれに不明である為、其熱を薬剤を以て解熱させ、或は氷冷法を行ふのである。

 

 元来、一切の物質は熱に因れば溶解し、冷によれば固結するのが法則であるから、此誤れる医療に由って膿は扁桃腺に固結して了ふのである。之が扁桃腺肥大である。故に、解熱療法を行はなかった明治以前は、扁桃腺肥大なる病気は一人も無かった筈である。

 

 そればかりではない、もっと怖ろしい事がある。扁桃腺肥大によって、膿の唯一の排除口が閉止される結果、淋巴腺へ集溜した膿は、止むを得ず反対の方向へ排泄口を求めるのである。夫は中耳であって即ち中耳炎である。扁桃腺炎より中耳炎の方が如何に重症であるかは、誰もが知ってゐる通りである。近来中耳炎患者が激増した原因はこれである。」          (「愚昧なる医学」 S11.2.25.)

 

「(中略)医学上の解釈によれば、扁桃腺肥大症は、風邪に罹り易く、随而、発熱し易いといふ事、今一つは、小児に於ては、頭脳が鈍感であるといふのである。故に、手術による切除によって、右の諸症は、完全に解消されると言ふが、成程一時的効果は確にあるが、将来に於て、或種の疾患発生の原因となる事を知らないのである。(中略)

 

医学上では、扁桃腺肥大児童は、脳神経痴鈍であるといふのである。之も、私の研究によれば扁桃腺肥大其ものは、直接、脳神経に、影響は無いのであって、之も、医学の研究不足である。それは、如何なる訳かといふに、扁桃腺肥大の児童は、例外なく頸部の周囲に、多量の水膿溜結を見るのである。

 

それが為、脳へ送流する血液が、妨げられる結果、脳の血液不足による、器能の不活溌が、脳神経痴鈍とならしめてゐる。此点現在医学の解釈は、余りに単純であると、思ふのである。」
   (「扁桃腺肥大は切らずに完全に除去さる」観十号 S11.4.11.)
 

 「(中略)風邪によらない場合、扁桃腺へ集溜して排除される事もあります。ですから、扁桃腺といふものは大いに必要なのであります。

 

 水膿が一旦扁桃腺に集溜すると、それを溶かす為に熱が出る。此熱を解熱剤や氷冷等によって冷すから、膿は溶解し損ねて固まってしもうのであります。之が扁桃腺肥大の原因であります。

 

 扁桃腺肥大は切らなければいけないといふのですが、それは解熱法によって作られたものであります。昔は、扁桃腺肥大症などといふ病気は無かったに違ひないのであります。之は明かに、解熱法が出来てからだと思ふのであります。」                                        (「風邪」療講 S11.7.)

 

「扁桃腺の起った時に解熱法を行ふ。その為に膿が固結するのであります。(中略)頸部附近に水膿溜結の場合、解熱したり、電気をかけたりすると固まってしまふので、其為又隣部へ出来て段々殖える事がよくあるのであります。

 

 最初一個所脹れた場合に、放置しておけば、その一個所へ膿が集溜し、充分脹れてついにブラ下る位になって、そして小さな孔があいて、膿が出て綺麗に治るんであります。

 

 以前、私が扱った患者で斯ういふのがありました。
最初耳下腺附近に脹が出来たので、盛んに氷で冷した。すると、其部分は脹れ切れずに固まったので、病院へ入院した。
すると今度は、反対の側の方へも腫が出来た。それをも氷で冷し、次々出来ては氷冷して、次から次へ出来た腫物を悉く固めてしまった。すると其為に膿が其部へ集溜されなくなるから、段々下の方へ溜るやうになって、終に肺気腫が起りそうになったのであります。《  図1》

《 図1》

 医師は驚いて、生命が危険だといふので、切開して膿を出したが、それも一時小康を得ただけで今度は、外部へ集溜されなくなった膿は、止むなく内部-即ち口内から咽喉部へ溜って、終に咽喉が塞がり、呼吸困難になって死んだのであります。(中略)

 

此患者など、最初から何等手当をせず、放任しておいたなら、順調に治って生命を完うしたらうに-と思って実に残念で堪らないと思ったのであります。」   
                                  (「扁桃腺肥大症」療講 S11.7.)

 

「(中略)小児の扁桃腺肥大は治癒するのに、本療法によるも十数回を要するのである。何となれば、発熱がないからである。発熱がないといふ事は、患者が弱性の為に浄化活力が欠乏してゐるからである。浄化力旺盛が発熱をさせるのである。」                     (「現代医療の大誤謬」 S11.)

 

「扁桃腺肥大は熱の出るのを待ってやると早い、熱を出すに永くかかる。」      (特別講習会御講話 S15.11.9)

 

「(中略)医療は(中略)一時治癒したとしても、実は真の治癒ではなく、浄化発生以前に還元させた迄であるから、扁桃腺固結は依然としてゐる。然しそればかりではない。其後に集溜する毒素が加はって、固結は漸次増大する。再び浄化が起る。復浄化を停止し還元させる。斯様な事を繰返すに於て慢性症となり、固結は愈よ膨大する。之を扁桃腺肥大症といふのである。

 

そうして、手術除去を慂めるのであるが、何ぞ知らん、除去しなければならない程に膨大させたのは、医療の結果であるのである。そうして、此様に膨大した扁桃腺は、発病するや激烈なる浄化作用が起るから、高熱は勿論の事、患部の腫脹甚だしく、喉頭は閉鎖され、甚だしきは、水一滴さへも飲下する能はざる程になるのである。斯様な悪性扁桃腺炎を恐るるが故、除去を勧むるといふ事になるのである。

 

然るに自然治癒によれば、扁桃腺炎は、一回より二回、二回より三回といふやうに、漸次軽症となり、畢に全く扁桃腺炎は発病しない事になるのである。」  

                      (「扁桃腺炎、盲腸炎、手術」明医二 S17.9.28.)

 

《浄霊》 頸部淋巴腺、扁桃腺部